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麻農家訪問記(Part.2)~麻の文化と麻栽培~

麻の文化を広める取り組み

私と高島さんは、鹿沼の地へ入ってから、四方に囲まれた丘のような低い山々の間を縫うように続く一本道を走らせながら、8年前に見た景色をいきなり思い出していました。
「そうだね!こんな風景だった」お互いに顔を見合わせ心躍らせました。
 でも、大森さんの工房がどこにあったのかをなかなか見つけることができませんでした。その理由は、景色の中に豊かに広がる麻畑が、3メートル近い高さで真っすぐに立ち、空と大地の間に見事な麻の絨毯を広げていたからでした。その光景の中に溶け込むように佇むとき、何か神聖な風が私たちを包み込み、別世界の感覚を覚えるのでした。

 8年前に訪問したのは、晩秋でしたので、その時は収穫が終わり、工房内は<麻掛け>の黄金色のカーテンが圧巻の美しさで揺らめき、不思議な<気>で満たされていました。
 訪問した7月18日は、麻の刈り取りがちょうど始まる頃。麻は、梅雨明けの7月中旬から収穫がはじまるのです。私たちは思わず車を止めて麻畑の間近まで歩き、写真を残すことにしました。美しい麻畑。その茎は繊細でかつ細い竹のようにしっかりと空に伸びています。

 大森さんの工房「野州麻紙工房・野州麻炭製炭所」に着き、大森さんが畑から戻るのを待ちます。工房や麻製品の展示をしている「納屋」を見学しながら、8年前と何も変わらない6畳ほどの事務所に入り、思わぬものを見つけました。それは、神棚に祭られた<龍>のしめ縄でした。

「すごいね!龍のしめ縄初めてみた」「素晴らしい芸術品だね!」目が釘付けになりました。

大森さんがにこやかに「やあ!久しぶりだねー」と事務所に入って来られて私たちはびっくり。8年前から随分痩せて若返っていたからです。大森さんは今75歳だと伺いましたが、 ヒトは実年齢ではないのですね。若返りの理由は、おそらく、麻への新たな取り組みと希望を、ご自身の人生にプランニングしたことにあるのではないか?とわたしは想像します。そのお話はまた後ほど。

大森さんのお話を伺うにあたって、私は何も準備はしませんでした。お聞きしたいことはすべてその場の流れに任せるのが私のいつものスタンスです。それで、3人が揃ったところで開口一番にお尋ねしたのが、<龍のしめ縄>についてです。
「麻で、ああいう工芸品を創る人がいるんだよ」というお答え。
時間もかかりそうだし、高そう(笑)というと、「あれで、3か月くらいはかかるな。それなりの価格はするよ(笑)」と。そこから、大森さんが主催されている「日本麻フェスティバル」のお話が始まりました。

 大森さんは、自ら立ち上げられた(社)日本麻振興会が主催する「日本麻フェスティバル」を10年ほど前から開催されていて、今年は10回目になるそうです。令和4年の去年は10月に地元鹿沼で行われました。ここでは、麻に関する伝統文化と生活文化の展示などを通して、全国の麻を使用した文化、芸術、生活作品とその製作者の方々の交流をもつイベントです。前回の鹿沼での展示には、大森さんの工房から「第69代横綱 白鵬翔関の横綱」が出品されたとのこと。これらの伝統・文化への取り組みに関しての詳しい記事は以下にご紹介されていますので、ご興味あるかたは是非、お目通しください。

麻栽培の認可と住み分け

ところで、産業用の麻に関しては、昨今ブログやYouTube等でもその利用価値が様々に情報発信されていますが、一方で医療大麻の法整備と解禁が具体的になってきているという話もあり、大森さんを代表とする産業用大麻の栽培農家さんと、医療大麻の解禁後の栽培者との関連性などは、どうなっているのかを知りたくて質問してみました。

 医療用の大麻の解禁についてはハードルがあって、まったく別の人たちがプロジェクトとして関わるから我々とは無関係。医療用大麻の栽培をするには、東京ドームのような広さで栽培し、その横にそれを精製する工場と一体感があってどこででもできない図式になっている。地域的にも限定されていて1か所20億円ほどかかる。それは、国家事業であって全く別もの。というお話でした。

 CBDは産業用大麻の成分として、外国では認可が降りて久しく、あらゆる生活用品や食品に使われていますが、THCの含有率も0.3%以下という括りで、微細なエビデンスは特に求められていないようですが、国内ではそうはなっていません。そしてCBDと産業用大麻(ヘンプ)は分けて考えなければならないと大森さんはいいます。

 産業用大麻の栽培が全国的に解禁になるという流れは、厚労省が認可の方向で、あとは各県の知事がOKならばGOサインがでるとのことです。
 その際には許可される品種に大森さんが栽培している品種と同等の厳しいTHCの含有率が求められることになるでしょう。

 これとは別に、CBDに関しては、日本の法律や基準をクリアしていると証明する「特定違法物質審査済証」を発行するカンナビノイド審査委員会が定めるTHC含有率はなんと、0.025%なんですね。桁が段違いです。このハードルは、大森さんのご指摘の通り産業用大麻の扱いとは全く別物であるということです。ですから、エルブドールの製品に使われているCBDアイソレートが、どれほど高いハードルをクリアしたのかをご理解いただけると思います。

 大森さんにエルブドールの製品について、国内認定CBDを国内ではじめてスキンケアに製品化したことや、大麻草に関する愛情の歴史などをお話しながら、今後の日本での大麻栽培と大麻草への信頼を復活させる夢を共有しながら、お話は、麻農家の具体的な農作業と取り組みかたの真摯な決意に耳を傾ける本題に入ります。

計算のできない自然と共存する経験値を磨く

 大森さんの麻畑は4.4ヘクタール。すでに、栃木県内では麻農家は4軒のみになっていて、あとの3軒の栽培面積は各20アールほどだそうです。東京ドームが4.5ヘクタールだそうなので、ほぼ同じくらいの面積だとイメージできると思います。

 大森さんは「年間に全国から依頼が多くて、精麻3,000㎏(3t)でも足りない現状なんだよ。うちは4.4ヘクタール作っているけど、6人働いている。麻農家は1年中仕事してるけれど、本物の栽培農家を育てるためには、それを最低3年やってやっとスタートラインなんだ」

 大森さんが代表を務める(社)日本麻振興会は、正統な麻文化の継承組織として、多くの方々が会員として参加されており、前述したように、神事はもちろん、文化、工芸、生活用品など、古き良き伝統の継承から、新たな分野へのアイデアを、大森さん自ら提案、雛形の創作と発表、発信を続けておられます。

「情報はあらゆるところから来る。良いものも、悪いものも、詐欺的なものも。見抜く力が必要なんだな」
「農業をやっているのだから、農家じゃん。製品がすべてを語る」
「そうですね。農業って、サイエンスでありケミカルである。いろんなものを含んでいる素晴らしい職業だとわたしは思っているんです」
「それは間違いない」
「それを実践しているんですものね」
「自然を相手にすることの難しさ、計算できない中で、計算するんだよ。経験値は無限に続く。大麻栽培の解禁が進んで<緩く>なれば、本物の麻栽培者を育てることは、必要になってくる」だから、大森さんの工房には2年前から研修生として迎え入れてる150人ほどの麻栽培志願者がいて、麻栽培を認定制度にする仕組みを作ったそうです。

本物の農業従事者、本物の麻栽培農家の大森さんは、世の中の雑音と必要な情報をきちんと精査し、ある一瞬には哲学者のように語り、麻という万能の神の草の奇跡の物語と物証をわたしたちに伝えてくれています。

続くPart.3では、本物を育てるという決意と取り組み、この先の未来に輝ける心の持ち方を、語ってくれています。産業用の大麻栽培とその用途の大いなる復元を目指す人がいて、科学の進歩により大麻草の奇跡の成分CBDを、スキンケアとサプリメントに生かす私たちがいて、それは両者とも<原点回帰>の意思の実行でもあります。

私たちの<原点回帰>の核となるCBDについて、こちらでもう一度整理して、正しい知識をしっかり記憶の引き出しに収めていただけると嬉しい。CBDだけを知るのではなく、なぜ今CBDなのか。そして、世の中の多くの優れた成分のうち、あなたがCBDに魅かれる理由は何かを見つけていただきたいと願っています。ではまた次回に。

「CBDとは?なぜ話題なのか? 世界的に大注目なCBDの基本情報」
https://grassroots.site/whats-cbd/

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