一人旅で拓く心の郷愁
「五月待つ 花橘の香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする」(古今集・巻3 夏歌139)五月を待ちかねて咲く橘の花。その花の香をかぐと、昔愛していた人の袖に付いていた香と同じ匂いがして、その人のことを懐かしく思い出す。写真は橘の花これは、古今和歌集で取り上げら
エルブドールの製品開発に携わったメンバーとして 三咲 円 が綴るエッセイです。
開発における様々なエピソードや精神性についてをお届け致します。
「五月待つ 花橘の香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする」(古今集・巻3 夏歌139)五月を待ちかねて咲く橘の花。その花の香をかぐと、昔愛していた人の袖に付いていた香と同じ匂いがして、その人のことを懐かしく思い出す。写真は橘の花これは、古今和歌集で取り上げら
桜が満開になる季節。例年ならば3月後半に咲いていた桜が、今年は4月に入ってなお蕾を固くして、人々の<桜を心待ちにする>気持ちを一心に集めていたように思います。そして、一斉に満開になった週末の、各地の素晴らしい桜の映像がTV報道されるのを見て、これほど桜が美しいと感じたことが無かったなぁ。と思いな
三寒四温の季節ですが、その振り幅が大きすぎて、体調を管理するのが大変ですね。皆さま、どのようにお過ごしでしょうか。エッセイの発信が空いてしまいまして、読者の皆様にはご心配をおかけいたしました。 社会情勢の均衡が崩れ、新たなフェーズに移行している昨今の市場を鑑みながら、エルブドールでも新たな企画を
朝夕の寒暖差が激しく、不安定な気候変動の真っ只中にあった11月が終り、一斉に紅葉の採色に日本中が満ち溢れる刹那の秋を、わたしたちに見せてくれています。素晴らしい紅葉の景色を待ち望んだ観光客は、京都においてはその8割が外国人観光客であり、日本人は2割ほどだといいます。「日本人はいったい何処へ行った
秋の風景が広がる道。早朝の澄んだ空気を胸いっぱいに呼吸して、青く高く抜ける空の下、近所の各庭先に実る橙色や赤色の美しさに見とれながら歩く幸せ。秋はこうでなきゃ。と思っていたら、時間がたつにつれ、なんて熱い太陽の日差しであろうか! 少し肌寒かった朝に羽織った上着を脱いでもまだ暑いなんて。 1
残暑というには、あまりにも暑い9月が終わり、秋本番の神無月に入りました。暑さと水不足のせいで葉が落ちて、ソメイヨシノが開花したというニュースを見て、ああ、植物たちも勘違いを起こしているのかなぁ。と思いながら、ヒトも動物も、昆虫たちも、<いのちの循環>という完璧なシステムに大きな変化が起きているこ
価値の変革と意識のチェンジアップ 価値がお金ではなくなってきたと気付いた人から、生き方の選択が変わろうとしています。「今だけ、金だけ、自分だけ」というキーワードが過去の遺物として淘汰されるという流れの中で、本物の自分を軸に、正直な心を隠さず、心とカラダの声に耳を傾け、誰のために、何のために
麻という驚異の生命力 人間が生きるか死ぬかの生死をかける時代。それはいつかと言えば、<移動が始まったときから>と大森さんは話し始めます。 「もう、縄文時代どころじゃない。なんでかっていったら、麻の特性がそういうもので、オスとメスが別々なの。雄株と雌株が。雄株が9月に花が咲くとね、一週間ぐら
麻の文化を広める取り組み私と高島さんは、鹿沼の地へ入ってから、四方に囲まれた丘のような低い山々の間を縫うように続く一本道を走らせながら、8年前に見た景色をいきなり思い出していました。「そうだね!こんな風景だった」お互いに顔を見合わせ心躍らせました。 でも、大森さんの工房がどこにあったのかを
梅雨がまだ明けきらない7月18日、私は長年の友人である編集者の高島敏子さんと一緒に、8年ぶりに栃木の麻農家、大森由久氏を訪ねました。実は、10年以上前から麻に関する情報と考察を歴史から学んでいた私は、日本の麻は今どうなっているのだろう?と思い立ち、各方面に人脈をもっていた彼女に相談したとこ